定款に盛込む基本事項の検討

1. 商号の検討

 

商号とは、まさしく会社の名前です。

商号は、「名は体を表す」というように、実績を積めば積むほどブランドイメージを構築し、思わぬ宣伝効果を生みだしていきます。

一番悩むのが商号を決めることかもしれません。

商号のつけ方としては、
@ 業種・業態のイメージが湧くか。A 覚えやすい・目立つ(面白い)名前か。
などがあると思いますが、最終的には、あなたが気に入った名前を会社名にしておきましょう。

後で会社名を変更しようとしても、多額の費用と労力がかかります。
「後悔先に立たず」です。 

ただし、次の2点は確認しておきましょう。

  • ホームページを作成する際の独自ドメインは登録可能か

    独自ドメインは、会社の信用力や知名度に貢献します。
    しかし、会社名が決まっても、ホームページを作成する際に必要な独自ドメインが先に取得されていれば「焼け石に水」です。そのため前もって、お名前.comなどで登録可能か調査をしておきましょう。

 

  • 同一住所の同一の会社名が登記されていないか。

    会社法では、既に登記されている会社と同一の住所で、かつ、同一の会社名は登記することができません。又、同一の住所でなくても、同一の市町村区内の同一の会社名があると、不当競争防止法など思わぬトラブルの種となるかもしれません。そのため、会社法施行後は、類似商号の調査は不要になったといえども、確認しておいた方が無難かと思います。
    なお、商号調査は、管轄の登記所で無料で商号調査簿を閲覧することによって、行うことができます。

 

商号を決めよう 留意点

  • 株式会社を会社名の前後どちらにもってくるのか、決めておきましょう。
  • ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット、アラビア数字および一定の符号を使用することができます。「&」 「 ’」 「 、」 「 - 」 「 .」 「 ・ 」
  • 文字数に制限はありませんが、常識の範囲内にしておきましょう。

 


  

2. 目的の検討

 

目的とは、会社が行う事業内容のことをいいます。

会社は目的の範囲内でしか事業を行うことができません。

目的には、実際に行う事業内容だけでなく、将来行う事業も記載することができますので、十分に検討しましょう。会社設立後の目的追加は、変更登記が必要となり、登記費用がかかります。

又、許認可を必要とする事業においては、目的への記載が必要となりますので、注意しましょう。

あと、事業目的の最後に「前各号に附帯する一切の業務」の文言を挿入することによて、事業目的の幅が広がりますので、必ず記載しておきましょう。

 

許認可が必要な主な業種 →

 


 

3. 本店所在地の検討

 

本店所在地とは、会社の住所をいいます。

もちろん、自宅を本店所在地とすることもできます。

定款への記載は、本店の所在地(最小行政区画)まで記載する方法と、本店の所在場所(全部の住所)まで記載する方法がありますが、ぜひ、前者の方で記載しておきましょう。

そうすると、同じ最小行政区画で本店を移転しても、わざわざ定款を変更する必要がありません。

 

定款への記載例

「当会社は本店を大阪府堺市に置く。」

 


 

4. 公告方法の検討

 

公告とは、利害関係者に対して、所定の方法により一定の期間、決算期ごとに作成する貸借対照表またはその要旨などの情報を開示する制度のことををいいます。

  • 官報に掲載する方法
  • 日刊新聞紙に掲載する方法
  • 電子公告(インターネットWebページ)

上記でも、最も一般的に選択されている公告方法は、官報に掲載する方法です。

 

公告を怠った場合

公告を怠ってしまいますと、過料(罰金)が課せられますが、実際公告を行っている中小企業は数少なく、公告を怠ったとしても、過料が科せられていないのが実状のようです。

 


 

5. 発行可能株式総数の検討

 

発行可能株式総数とは、定款において、将来株式を発行することができる上限枠数のことをいいます。

  • まずは、1株の発行価額を設定しましょう。

   一般的に1株 1万円または5万円が主流となっています。

  • 次に、資本金1,000万円程度を目安に上限枠数を設定しましょう。(または、目標資本金)

   資本金1,000万円とすると 1万円なら1,000株、5万円なら200株

 

株式譲渡制限会社においては、発行可能株式総数に制限はありませんので、少ない株式数とならないように注意しておきましょう。 将来、増資するような場合、変更登記が必要となってしまいます。

 

株券の発行

株券は、原則無発行です。発行にしてしまいますと、印刷費用など余計な費用がかかりますので注意しましょう。

  


 

6. 役員の任期の検討

  

役員の任期は、原則として取締役が2年、監査役が4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会終結までとなっています。

ただし、株式譲渡制限会社においては、最長10年まで延ばすことができます。

ただし、やみくもに任期を10年とすることには注意しましょう。

特に、第三者や直系以外の親族を取締役にしていると、正当な理由なく解任した場合損害賠償請求される可能性があります。損害賠償額は解任後の残り期間に受け取ることが出来た筈の役員報酬相当額となり、任期が長くなるほど損害賠償額が大きくなります。

 

推奨する役員の任期

2年では、役員変更登記がすぐにやってきて、最大10年までの恩恵を無駄にしてしまいます。
10年では、10年後の登記や定款を見直す等の機会を失念し、上記のような損害賠償請求のリスクも伴います。よって、役員の任期は中間年の4年または5年を推奨しています。

 


 

7. 事業年度(決算期)の検討

  

事業年度は、通常1年で区切ります。

事業年度は、1年を超えることができず、短くしても決算手続などが煩雑になるだけです。

また、設立1期目は会社設立日(登記申請日)から決算日となりますので、あまりにも短くしてしまいますと、すぐに決算を迎えたり、設立後税務署へ提出する「青色申告承認申請書」の提出を失念する可能性もあるため注意しましょう。

事業年度の具体例

会社設立日(登記申請日)を6/26、事業年度を6/1〜5/31とすると

第1期 6/26〜5/31
第2期 6/1〜5/31

 


 

8. 資本金の検討

  

資本金とは、会社を運営していくための元手資金です。

この資本金の性格を分析すると、以下のとおりです。

  1. 資本金は会社の信用度を測る尺度です。
  2. 許認可を必要とする事業には、一定の資本金額要件が含まれているものがあります。
  3. 資本金が少額すぎると、早々に債務超過に陥ります。 


 

会社設立時の資金調達

会社設立時に融資を考えられている方は、資本金の額の決定には十分配慮してください。

独立開業時の融資として一番手堅く・頼りになるのが、「日本政策金融公庫」からの融資ですが、一般的に資本金の額と同額から2倍までが限度となっています。

もちろん、審査の結果によっては、希望に添えないこともありますので気をつけてください。

   


 

9. 出資者(発起人)の検討

 

出資者(発起人)は、会社設立後は株主となり会社の経営権に多大な影響を及ぼします。

議決権の割合によって、取締役の選任や解任を決議できますし、または定款の変更等の重要事項を自由に決議することができますので、第三者の出資がある場合は十分考慮にしたうえで決めましょう。

会社の経営権

会社の経営権を確保するためには、株主総会の決議方法からも分かるとおり、議決権の50%超は確保しておきましょう。そうすると取締役を解任されるおそれがありません。

より安全で自由な経営権の確保には、議決権の3分の2以上を確保しておきましょう。

 


 

10. 役員構成の検討

 

会社法施行後は、取締役1人でも株式会社を設立することが可能となっています。

この会社設立において役員になるということは、さまざまな法的責任を課せられることになりますので心掛けておきましょう。


また、定款には「当会社の取締役は1名以上とする。」にしておくと、将来取締役を追加しても定款の変更は必要ありません。

 

役員給与の税務

役員給与については、利益操作を排除しようとする観点からさまざまな取扱いが設けられています。

  • 定期同額給与
  • 事前確定届出給与
  • みなし役員        etc